2月20日 第1回定例会

◆8番(井上ノエミ君) 新しいすみだの井上ノエミです。
 山本区長、加藤教育長、よろしくお願いします。
 まず子育て支援、特に保育園の指導検査について山本区長にお伺いします。
 保育園の建設や指定管理者への移管に伴って、墨田区としてもこれらの施設をきちんと指導検査していく必要があります。しかし、保育施設の数が増えてくると、実際に区の職員が保育園を訪問して指導することが難しくなってくると思います。区としてきちんとした指導検査体制をつくることは、保育の質を担保するためにも、また事故を防ぐためにも重要と思います。保健所の職員など、関係部局も動員して保育園を訪問するなど、日頃から保育園と密接な関係を築くことが重要だと思います。山本区長に墨田区の子育て施設の監督検査体制について、今後どのように強化していくのかお伺いします。
 次に、学校教育の分野では総合教育会議が開催されています。区内の小・中学校の校長先生方も多く参加しています。このような会議で山本区長がリーダーシップをとって、ご自分の考えを関係者に訴えることは大変重要だと思います。私は子育て支援の分野においても、1年に1回は墨田区内の保育園長を集めて、山本区長と意見交換をする機会をつくることが大事だと思います。山本区長が現場の声を聞くことは大変大事だと思います。そのような機会を通じて、区長がよりリーダーシップを発揮することができると思います。山本区長のご見解をお伺いします。
 次に、墨田区の無認可の保育施設について伺います。
 無認可の保育園やベビーホテルについては、東京都の所管ですから、墨田区はあまり関係しないという立場だと思います。しかし、夜、ベビーホテルに子どもを預けなければならない親は、夜、働かなければならないお母さんで、母子家庭の方も大変多いようです。つまり、社会で最も弱い立場にいる人が無認可のベビーホテルを利用しなければならないし、本当に必要な福祉サービスを受けることができないのです。また、認可外の保育施設では事故が多いと言われています。墨田区としても、このような認可外の保育施設について、もっと積極的に関与していく必要があると考えますが、山本区長のご見解を伺います。
 次に、すみだの「まちづくり」について、特に自転車専用レーンの整備について伺います。
 墨田区では子育て施設の整備が大変進んでいますので、私の自宅のすぐそばにも保育園ができました。夕方にはお母さん方が子どもたちを迎えに来ます。ほとんどのお母さんは自転車で来ています。2人の子どもを自転車の前後に乗せて帰るお母さんもいます。お母さん方が自転車で帰るのを見ていると、事故に遭わないように、無事に帰ってほしいと祈る気持ちになります。
 墨田区では、これまで小学校の通学路の安全対策が重点的にとられてきました。同様に保育園に通う乳幼児の安全対策のために、ママチャリが安全に走れるまち、お母さんたちが安全に自転車で子どもたちを送迎できる安全なまちづくりが必要だと思います。道路交通法では、ママチャリであっても基本的には車道を走らなければなりませんが、墨田区のように自転車が安心して走れる専用レーンがない場合には、歩道を走るのも仕方がないと思います。
 墨田区では現在、区役所通りに自転車レーンを整備しています。また、曳舟通りにも自転車レーンがつくられました。しかし、一部の道路における自転車レーンの整備だけで、そのネットワークを区内に整備していく考えがないと思います。墨田区では、平成25年に「墨田区自転車利用総合方針」を作成しました。また、平成27年に「交通バリアフリー道路特定事業計画」が作成されて、一部の道路における自転車レーンの整備が決まっています。しかし、墨田区のこれらの計画を見ても、区内に自転車が安全に通行できるような自転車レーンのネットワークをつくるという考えがありません。
 しかし、国の政策はもっと進んでいて、国土交通省と警察庁は、平成24年に「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」を作成して、各自治体に自転車ネットワークを計画整備することを求めています。
 残念ながら、これまで92の自治体しか自転車ネットワーク計画を作成していないことから、平成28年7月に新たにこのガイドラインを改定して、各自治体に自転車ネットワーク計画の作成を促しています。これは260ページもある文書です。山本区長のお手元にも一部差し上げましたので、是非目を通していただきたいと思います。この書類には、具体的な自転車レーンの整備だけではなく、安全な道路をつくることについて詳細な説明があります。もし墨田区でこの計画が実施されると、墨田区の道路は大きく変わり、安全に誰もが自転車に乗ったり歩くことができるまちになると思います。
 私は是非墨田区においても、このガイドラインに基づいて、墨田区自転車ネットワーク計画を作成して、実施してもらいたいと思います。山本区長のご見解を伺います。
 次に、最近、銀座の泰明小学校でアルマーニの制服を採用することが話題になっています。報道によれば、校長が独断で決めたようです。教育行政組織がきちんと機能していないという印象を持ちました。学校の重要な問題について、教育委員会が全く校長に任せてしまっていいのか疑問に思います。もちろん、現場の責任者である校長が大きな裁量権を持つことは当然です。しかし、校長が何でも勝手に決められるというのは、組織上大きな問題だと思います。校長の裁量権の範囲内であっても、重要なことについては教育委員会や教育長と相談しながら決めるというのが当然だと思います。
 また、場合によっては、区民に対して責任を負う区長の意見を聞くことも必要だと思います。山本区長、加藤教育長はどのようにお考えかお伺いします。
 また、制服の話になりますが、昨年、公正取引委員会が公立中学校における制服の取引の実態について調査結果を発表しました。その中で制服の販売について、望ましくない例が報告されています。例えば特定の業者が指定されており、競争原理が働いていない場合があるとのことです。公正取引委員会は、指定販売店を定期的に見直すなどして、「安くて良質な制服」が買えるようにすべきと指摘しています。墨田区の実態についても、是非一度調査していただき、少しでも保護者の負担を減らしていただきたいと思いますが、加藤教育長のご見解を伺います。
 次に、英語教育について伺います。
 昨年、墨田区で初めて中学生の海外派遣を実施して、20名の中学生がオーストラリアを訪問しました。大変成果があったようで、今後も是非続けていただきたいと思います。
 しかし、大変費用がかかりますから、たくさんの中学生を派遣することはできません。私は以前から、あわの自然学園を利用した英語のキャンプを開催することを提唱しています。オーストラリアの派遣期間と同じぐらい、例えば2週間程度中学生を英語漬けにするわけです。ALTもいますから、教えることは問題ないと思います。また、日本にいる留学生に来てもらえば話す相手ができます。是非検討していただきたいと思いますが、加藤教育長のご見解を伺います。
 次に、観光対策についてお伺いします。
 先日開催された総合教育会議で、英語の通じる墨田区をつくるというような提言もありました。とてもよい考えだと思います。道に迷っている外国人を助けられる簡単な英語を話せるボランティアは、オリンピック・パラリンピックまでにたくさん養成する必要があります。難しい英語を話す必要はありません。簡単な道案内の英語や電車の切符の買い方など、小学生や中学生でもできると思います。
 多くの区民に簡単な英語を教えて、英語ボランティアとして任命して外国人を助けてもらう。外国人が墨田区に来て、「墨田区には英語で助けてくれる優しい人がたくさんいる」という印象を受ければ、それがシティプロモーションになります。曳舟のユートリアでは、NPO法人すみだ学習ガーデンがすみだ地域学セミナーを開催していますが、英語初級講座もあります。「墨田区を英語で紹介しよう」というプログラムですが、大変人気があって、30名の定員に対して大変希望者が多いと聞いています。このようなプログラムをどんどん開催して、オリンピック・パラリンピックまでには1,000人程度の英語ボランティアを養成してはどうでしょうか。また受講者には「May I help you?」という英語のメッセージの入ったTシャツなどを配って活動してもらうことを考えてはどうでしょうか。それほど予算のかかる話ではありませんので、是非検討していただきたいと思いますが、山本区長のご見解を伺います。
 最後に、横網町公園のトイレについて伺います。
 刀剣博物館もオープンして、これから両国地域に多くの観光客が来ると思います。横網公園のトイレ、第一ホテルのそばにあるトイレですが、洋式ではありませんし、かなり古くなっています。都立公園なので、トイレも東京都の所管かと思っていましたが、このトイレは墨田区の所管と聞きました。トイレを整備するのは大変費用がかかりますが、人通りが多い場所ですから、改修して立派なトイレをつくっていただきたいと思います。山本区長のご見解をお伺いします。
 私の質問は以上です。ありがとうございます。
   〔区長 山本亨君登壇〕
◎区長(山本亨君) ただいまの新しいすみだ、井上議員のご質問に順次お答えします。
 最初のご質問は、子育て施設の指導検査についてです。
 ご指摘のとおり、保育の質を確保し、事故を未然に防ぐために、区として指導検査体制を充実することは大変重要と認識しています。
 区では、指導検査体制の強化として、保育所の園長経験を有する職員の配置や、職員研修を実施しています。また、東京都の実地検査への立会いや合同での検査を実施し、指導検査のノウハウの蓄積に努めています。
 さらに、区の職員のみでは、増加する保育施設全てを指導検査することは困難なことから、今年度からは民間委託による指導検査の補助業務を開始したところです。この事業では、私立認可保育所や小規模保育所、家庭的保育者を対象に巡回調査を年2回行い、指導検査の対象年度ではない保育施設等についても安全の確保に努めていきます。
 次に、区内の保育園長を集めて、私と園長との意見交換をする機会をつくることについてです。
 保育園については、研修会等の園長などが集まる場や、直接園を視察した際など、機会を捉えて現場で働いている保育士の声を聞いているところです。今後もそのような機会を増やしていき、リーダーシップを発揮していきます。
 次に、認可外保育施設への関与についてです。
 ご指摘のとおり、認可外保育施設に対する指導検査権限は東京都にあることから、区が直接検査を行うことはできません。区では、都が実施する認可外保育施設に対する立入調査の際には立会いを行い、調査結果を共有し、指導への協力をしているところです。また、昨年の決算特別委員会においても認可外保育施設への指導検査の充実についてご指摘をいただきましたので、都に対し申入れを行ったところです。今後も都と連携を図り、認可外保育施設の指導検査について協力していきます。
 次に、自転車ネットワーク計画の作成についてです。
 ご指摘のとおり、平成28年7月に「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」が改定され、昨年5月には自転車活用推進法が施行されました。現在国は、自転車活用推進計画の策定を進めており、都内においても「自転車ネットワーク協議会」が開催され、区市町村の自転車ネットワーク計画策定の調整等が進められています。
 本区においても、地域の課題やニーズ、交通状況等を踏まえ、安全で快適な自転車利用の環境を創出していくことを検討、調整しているところですので、一定の方向性が定まり次第、地域の実情に応じた自転車ネットワーク計画を作成していきます。
 次に、学校教育に係る重要課題の学校、教育委員会及び区の情報共有についての私の認識です。
 ご指摘のとおり、学校教育上の重要課題については、私は学校及び教育委員会と連携して情報共有を図ることが大切であると認識しており、事例によっては、総合教育会議などの場を通じて、こうした教育課題についての議論を深めていきます。
 次に、観光対策・シティプロモーションについてです。
 まず、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた英語ボランティアの養成についてです。
 本区では、まちなかで困っている外国人に簡単な英語で道案内等の手助けをしていただくことを目的として、昨年度から東京都と共催で、「外国人おもてなし語学ボランティア育成講座」を実施し、これまでに250人を超える区民の方々に受講いただきました。今後も継続して実施していくこととしています。
 また、すみだ地域学セミナーの英語講座についても、来年度は、「オリンピック・パラリンピック講座」を創設し、新たに中級講座を開設するなど、さらなるボランティアの養成につなげていきます。
 なお、本年9月から大会組織委員会と東京都が、競技会場や観光地などでのボランティアを募集する予定です。このほか、意欲のある区民がさまざまなボランティア活動に参加できる機会の創出について、Tシャツを着たボランティアの活動のご提案もありましたが、現在、特別区主管課長会の中に設けた検討組織でさまざまな意見交換をしており、外国人が「墨田区に来てよかった」と感じられるような取組を検討していきます。
 最後に、横網町公園のトイレについてです。
 トイレの改築は、施設の老朽度に合わせて順次進めていますが、30年度から東京2020オリンピック・パラリンピックに向けてトイレの洋式化も進めていくこととしています。横網町公園内には、区管理のトイレ2カ所のほかに、東京都管理のトイレも2カ所あることから、双方の調整や統合も含め、今後のトイレの整備について検討していきます。
 以上で、新しいすみだ、井上議員の私へのご質問に対する答弁を終わります。
   〔教育長 加藤裕之君登壇〕
◎教育長(加藤裕之君) 新しいすみだ井上議員のご質問に順次お答えします。
 初めに、学校教育に係る重要課題の学校、教育委員会及び区の情報共有についての私の認識です。
 学校教育に係る権限は、法令及びその重要度に応じて校長に与えており、標準服の選定についても校長が決定しております。
 ご指摘のとおり、学校教育上の重要課題については、教育委員会と学校の方針にそごが生じないように情報共有を図ることが大切であると考えており、校長会でさまざまな課題について協議を行っています。
 また、区長部局との情報共有や学校教育を支える保護者や地域に対する丁寧な説明も大切であり、教育委員会では今後も学校と連携して必要な対応を図っていきます。
 次に、標準服の選定についてですが、昨年、公正取引委員会が「公立中学校における制服の取引実態に関する調査」結果を公表し、その内容についても認識しております。
 教育委員会では、標準服について日ごろから学校に対して華美にならないようにすること、複数業者から見積もりを徴取して、価格の低い業者を保護者に案内すること等、保護者負担の増大につながらないように配慮するよう指導しております。区立小・中学校の標準服の実態調査については、教育委員会としてもその把握に努め、校長会で情報を共有していきます。
 最後に英語教育についてです。
 中学生海外派遣事業は、英語の学習成果を生かすとともに、国際社会で活躍する人材を育成することを推進する上でも重要であると考えています。来年度以降も継続して実施する予定です。
 中学生英語教育の一環として、「英語キャンプ」のご提案がありました。現在でも中学校の英語の指導に外国人講師(ネイティブ・ティーチャー)を配置して、授業での活用とともにコミュニケーションを図るための体験学習を行っております。また、来年度は9月に開設される東京版英語村である「TOKYO GLOBAL GATEWAY」において、中学校2年生の全生徒が、普段の学習効果を高めるために英語を体験する計画をしておりますので、これらを活用して中学生のコミュニケーション力を育成していきたいと考えております。
 ご提案のあった宿泊を伴う英語キャンプは、教育課程上の取扱いや費用負担、宿泊時の生活指導等、さまざまな課題が考えられますので、今後研究していきます。
 以上で新しいすみだ、井上議員のご質問に対する答弁を終わります。